異様な「女人」の訪問




(略) 大正十五年十一月一日の会合に、Kさんが出席してもいいかと聞いたところ、 「農民本意の会合だから、町の人は遠慮してくれ」といわれたが、 熱心に頼んで協会員にしてもらった。 このKさんが、これも熱心に頼まれて、女性Tさんを協会に連れて行ったものであった。 羅須地人協会は、女性は会員にしないと会則にはなかったのであろうか。 また、はじめての女性会員のTさんについて、「しっかりした女性」だとほかの会員にほめていた。 ところが、こまったことになったのだ。 Tさんは、集会の日でないのに協会にやってくるようになった。 朝早く、借りた本を返すのに賢治がまだ寝ているうちにきたり、夜訪ねたりした。 賢治、協会の人たちや、賢治の家族たちにも、その女人の訪問は異様、異常に見えるようになってきたのである。

[森荘已池・熊谷印刷出版部「ふれあいの人々 宮沢賢治」P18より・1980年]