短歌




賢治先生の霊に捧ぐ     露草 君逝きて七度迎ふるこの冬は早池の峯に思ひこそ積み ポラーノの広場に咲けるつめくさを早池の峯に吾は求めむ オツペルに虐げられし象のごと心疲れて山に憩いぬ 粉々のこの日雪を身に浴びつ君がみ徳の香によひて居り ひたむきに吾のぼり行く山道にしるべとなりて師は在すなり               (昭和十四年十二月十三日作) [「イーハトーヴォ」第四号・1940年2月21日] 賢治の集ひ        小笠原露 師の君をしのび来たりてこの一日心ゆくまで歌ひ語りぬ 教へ子ら集ひて歌ひ語らへばこの部屋ぬちにみ師を仰ぎぬ いく度か首をたれて涙ぐみみ師には告げぬ悲しき心 女子のゆくべき道を説きませるみ師の面影忘れなくに 右は九月一日菊池暁輝師を迎へての遠野に於ける賢治の集ひの際の感歌です。 [「イーハトーヴォ」第十号・1940年9月21日] [奥田弘・「宮沢賢治研究資料探索」P43〜P45より・2001年]